生産者STORY
- ハチ食品STORY 兵庫工場編
スパイスのプロフェッショナルが手がけたカレールー
ハチ食品株式会社 取締役 製造部長 兼 兵庫工場長 大西昭宏さんに聞く
江戸時代の薬種問屋から続くハチ食品株式会社は、日本ではじめて国産カレー粉を売り出した、カレーとスパイスの専門メーカーです。スパイスを知り尽くしているからこそ出せる奥深い味が楽しめます。
- 粉砕の仕方によっても味が変わる香辛料
ハチ食品株式会社は、長野県駒ヶ根にレトルトパック専用の工場があり、兵庫県宍粟(しそう)市にスパイスとルーの工場があります。
「水をたくさん使うレトルトの工場は、水がおいしい駒ヶ根にあります。水をあまり使わない工場が、ここ、兵庫工場です。水は工場設備の洗浄ぐらいしか使いません」
ハチ食品株式会社、兵庫工場長の大西昭宏さんを訪ね、お話しをお伺いしました。
兵庫工場では、スパイスの加工や調合、ルーの製造をしています。
「香辛料というのは、つくづく奥の深いものだなと思います。ちょっと熱をかけただけでも、フレーバーや風味がとんでしまいます。加工処理には十分注意を払わないといけないんです」と大西工場長。
スパイスの加工方法、たとえば粉砕する方法もいろいろあるようです。
そば粉やお茶の葉を細かくするように、石臼で挽く場合。それから、円筒型の筒に溝が切ってあって、回転しながら噛み砕く方法。高速回転する羽で粉砕する方法。また、杵のようなものでつきながら粉砕する方法もあります。
「香辛料というのは、大体、木の葉や根、実の部分が多いですよね。油分を多く含んだものがあります。それを杵でつくことで、含まれている油がにじみ出して風味と香りが高まってくる。そういう加工方法もあります。砕き方、煎り方、その組み合わせで、味が変わってきます。黒胡椒も加熱したものとそうでないものを使い分けたりもします。それから、産地、グレードによっても味は変わります」
それらをベストな状態で調合して、カレー粉が生まれます。
- 大手メーカーにカレー粉を供給
ハチ食品株式会社は、国産初のカレー粉を売り出した老舗メーカーで、長年、カレーを作り続けてきたメーカーでありながら、一般的には、あまり名前が知られていません。それもそのはず。昭和40年代半ばまで、大手メーカーにカレー粉を供給する、縁の下の力持ち的な存在だったのです。これを方向転換、ハチ食品というブランドでオリジナル商品を売り出していこうと、近年、一般消費者向けの商品を開発・販売するようになりました。
名前はあまり知られていないがらも、大手メーカーが提供しているカレールーの味の決め手、カレー粉は、ハチ食品のもの。ハチ食品のカレーの味は、これまで数多くの皆さまに愛され続けてきた味と言えます。
カレー粉は香辛料を調合して作ります。香辛料自体も、原料の産地やグレードの違いだけでなく、加工の仕方によっても味や風味、香りが左右されます。これを調合したカレー粉は、とても繊細なもののようです。
「カレー粉を調合して、何日か寝かすことで、全体に味がなじんで、まろやかさや風味が落ち着いてきます。ですから、製造してから何日か寝かしてほしい。普通、食品ですから製造年月日を入れるんですが、私どもの業務用のカレー粉には、出荷年月日も入れています。一定の期間、寝かせてから出荷しましたっていう意味でね」と大西工場長は教えてくれました。
同じ工場のなかで作られたカレー粉を使い、スパイスを熟知したハチ食品株式会社が、自信を持ってお届けしているのが、厳選した30種類のスパイスを使った、ロングセラー『カレー専門店のカレールー』です。
- 手軽に家庭で専門店の味
「最初はこれも業務用でした。1Kgの固形。これだと溶かすのが大変だというのでフレークにしました。これを一般消費者の方にも買っていただけるように180gの小さな包装のものを作りました。うちのカレー粉を使っていますから発色もいいし、深い味わいもあります。いろいろなカレールーがありますけれども、うちのルーはとても評判いいですよ」と、大西工場長。
生の小麦粉を油とともに煎り、そこにカレー粉をはじめ、材料を入れて炒めます。作り方はシンプルですが、釜の温度、煎る時間、カレー粉を投入するタイミングには細心の注意が必要とのこと。これらがちょっとでも違うと、味に大きく影響してしまいます。
スパイスとカレー粉を知り尽くし、日本のカレーの歴史とともに歩んできたハチ食品株式会社。『カレー専門店のカレールー』には、その長年の経験とノウハウが活きています。
ご家庭で本格的なカレーを作るとなると、なかなか大変。煮込む時間も長く、香辛料の扱いにも注意しなければいけません。この『カレー専門店のカレールー』なら、フレークですから溶けやすく、ご家庭で手軽に、手作りカレーが楽しみいただけます。