金鋒先生一代記

 
子犬を連れて小学校へ
 
子犬を連れて小学校へ
金先生は、ふたりの兄とひとりの姉、四番目の子どもとして誕生。博士の下にひとり妹がいらっしゃる5人兄弟です。
「私が生まれた時代は、中国の経済力はよくなかったです。5人の子供を育てるのは大変でした。
そのため、あまりいい学校に入れませんでしたし、勉強にも全然興味がありませんでした。
当時、両親は北京で仕事をしていましたが、われわれは内モンゴルのフフホトに住んでいました。
おばあちゃんとおばさん、兄弟5人で暮らしていたのです」と、金先生。
その後、小学生の頃、ご両親が住む北京に移り、1年半ぐらいして文化大革命が起きました。
そんななか、金先生のお父さまにスパイの嫌疑がかけられ、ご一家は、中国・河南省の田舎の村に追いやられてしまいました。
その村では、学校まで片道1時間半くらい歩かなければならず、勉強にはまったく興味がなく、遊んでばかりだったそうです。
「北京に住んでいたときは、街中で、鳥や犬や猫を見かけることはほとんどありませんでしたが、田舎にはたくさんいました。
ある日、とてもかわいらしい子犬を、学校に連れていったことがありました。
先生に隠していたのですが、子犬がワンワン吠えて、教室の隅に逃げてしまい、先生に捕まえられて、窓から外に投げ捨てられてしまったのです。
私は『大事な命なんだから、捨てたらダメだよ!』と、先生とケンカ。
子犬を抱いて家に帰りました」と、当時の思い出を話してくださいました。