生産者STORY

 
徳田商店STORY
 
日本の台所を支える「かつお節」パワー
株式会社徳田商店 取締役 長谷川和寿さんに聞く
冷蔵庫などなかった時代に、食糧を保存するための知恵が生んだ、かつお節。長きにわたり、日本の食文化を支えてきました。料理の主役になることはなくても、お料理のトッピングやだしとりなど、いまも昔も、和食に欠かすことのできない食材です。
 
駿河湾の海の幸を全国に発信
 
駿河湾の海の幸を全国に発信
伊豆半島最南端にある石廊崎と御前崎を結ぶ線より北側の海域を指す、駿河湾。その西側に位置する焼津漁港は、水産業の振興のためにとくに重要であるとして、政令で定められた特定第3種漁港。全国有数の遠洋漁業の基地です。カツオ、マグロ、サバなど、豊かな海産物が日々水揚げされています。
ここ焼津をはじめとする駿河湾の海の幸の魅力を広めようと、1998年に創業した地元密着型の卸問屋が、株式会社徳田商店です。
「創業15年。長い歴史を持つ水産業の企業が軒を連ねる焼津において、当社はまだ若い会社です。けれども、社長以下全員が、かつてかつお節屋に勤めていた経験を持つスタッフ。製造方法や文化など、かつお節の知識は備えていました。現在、『だし』は、大手食品メーカーが中心となって扱っていますが、当社では、お客様の細かなニーズに合ったものをセレクトし、供給していきたいと思っています」と、株式会社徳田商店の取締役、長谷川和寿さん。
大手では行き届かない要望を汲みとり、自らの目で見極めた確かな商品を、お届けする役割を担っています。

 
和食文化を支える「かつお節」
 
和食文化を支える「かつお節」
毎年2月中旬になると、鹿児島県の枕崎や高知県の近海にかつおが姿を現し始めます。5月ころには静岡県の焼津、初夏にかけて三陸沖まで北上すると、秋口、今度は一斉に南下を始めます。この「戻りかつお」は、たっぷりと脂を蓄えたかつおです。
「生食用のかつおは、脂がのっているほうがおいしいとされていますが、かつお節にするには、脂が少ないものの方がいいんですよ。かつおを煮熟、焙乾の工程をへて、かつおのうま味成分は、タンパク質の分解により生成される成分のイノシン酸(アミノ酸のひとつ)が生み出されています。脂分が多いと、かつおぶしのうま味、香りよりも、だしの濁りと雑味が前面にでてしまうため、良質のおだしには、なりにくいんですね」と、株式会社徳田商店の取締役、長谷川和寿さん。
こうした理由から、かつお節には上りがつおが使われてきましたが、近年は日本近海での漁獲高が大幅に減少。現在、ほとんどのかつお節に使われるかつおの漁は遠洋で、小笠原諸島海域で行われているのだと言います。赤道に近い小笠原諸島海域は、脂の少ないかつおが回遊している場所なのだそう。
「日本からは遠く離れた場所での漁。それでもいまは、GPSでどこに船がいるのかなど、漁の模様がリアルタイムでわかるようになっています。赤道直下での漁は、水揚げから冷凍までの時間をいかに短くするかが、鮮度を保つ鍵。300トンのかつおを1回で獲る船より、50トンを6回に分けて獲った船のほうが、こまめに冷凍できているはず。そうした情報をしっかり把握すること。数あるかつお節のなかでも、Germer Roadの『薄けずり』は、そんな風に、鮮度を重視して選ばれたかつおから作られているのです」

 
熟練の職人が生み出す「かつお節」
 
熟練の職人が生み出す「かつお節」
Germer Roadのかつお節、『薄けずり』は、どのように作られているのでしょうか。卸問屋である株式会社徳田商店の取締役、長谷川和寿さんとともに、この商品が生まれる、静岡県焼津市のかつお節削り工場を訪れました。
「こちらは1966年に創業したかつお節メーカーです。鹿児島県枕崎市にある工場でかつおを荒節(あらぶし)に加工したのち、ここ焼津工場に運んで、削りの工程を行なっています」と、長谷川さん。
荒節とは、削りをかける前のかつお節を指します。かつお節には荒節と、荒節にカビ付けをした枯節(かれぶし)とがありますが、こちらのメーカーでは荒節を専門に作っていました。
「荒節を作るにはまず、かつおの頭や尾、内蔵を切り落として3枚におろし、かつおの背中側の雄節(おぶし)と、お腹側の雌節(めぶし)を切り出します。1匹のかつおから4節とれるわけですね。この節をじっくりと煮たのち、骨抜きをしたら、焙乾(ばいかん)の作業に入ります。焙乾とは、薪を燃やし、その熱と煙でいぶす作業と、天日乾燥とを繰り返すこと。約3週間におよぶこの作業は、熟練の職人の技が必要です」
焼津工場には、いぶされて真っ黒になった荒節が運ばれていました。
荒節は、表面を洗い、水分調整されたあと、殺菌のため100℃で10分、蒸煮(じょうしゃ)します。殺菌以外に、削ったときの花立ちがよくなるという効果もあるのだとか。
そしていよいよ削りの作業です。かつおがラインに乗せられ、たくさんのカンナの歯が付いた円盤が高速回転することによって、あっと言う間に削られていきました。

 
作りたいお料理で選ぶ「かつお節」
 
作りたいお料理で選ぶ「かつお節」
「かつては各家庭にかつお節の削り器があって、家庭で削り、だしをとっていました。いまではそうしたご家庭はとても少なくなりましたが、かつお節の供給量は当時と変わっていないんです。節だったものが形を変えて、顆粒だし、麺つゆ、味噌などになった。おかげで料理はとても手軽になりました。これは大変喜ばしいことです。ただ、やはり素材からご家庭でとるだしは、おいしくて、なにより、安心してお召し上がりいただけますよね」そうお話しくださったのは、株式会社徳田商店の取締役、長谷川和寿さんです。
Germer Roadで扱っている株式会社徳田商店のかつお節は『薄けずり』。
「『薄けずり』はすっきりとした味わいに仕上がるため、味噌汁や吸い物などのだしをとったり、おひたしやうどんのトッピングとして幅広くお使いいただけます。
タンパク質、リン、カリウム、ビタミンDなどをたっぷり含んだかつお節。毎日の健康的な食卓に、ぜひ取り入れてみてください。